自治体職員を対象とした「協働のまちづくり」職員研修を行いました。
今回は「ワークショップにおけるコミュニケーションについて考える」を
テーマにし、普段あまり意識されないコミュニケーションのあり方について
体験をしながら学びました。

9F2E5560-B8D4-41BA-B3F9-D1A80C8E9035

事前の打ち合わせで、これまでワークショップやファシリテーションの研修を
実施してきたことをお聞きした上で、実際に職員の方がファシリテーターとして
住民の方と接する際に、どんな点に注意してコミュニケーションをとればよいか、
を考えて頂くことを今回のテーマとして設定しました。
ファシリテーションと聞くと、「付箋や模造紙を使って議論を見える化したり、
場を和ませる進行役」というイメージも持たれますし、それも事実ではありますが
参加者同士のコミュニケーションの交通整理をするというのも大きな役割です。
むしろそのためにファシリテーターがいると言っても良いかもしれません。

テーマが設定されていても、参加者は一人ひとり関心も違いますし、経験や視点
も異なります。それぞれの立場から自由に意見を発してもらっても、それが
他のメンバーに正しく共有されるかというと、そうではないことも多いです。
発信する側が自分の経験や視点でモノゴトを見ているように、受信する側も
その人の経験や視点でモノゴトを見ていて、その人のフィルターを通して、
情報を受け取られます。
ある人が「運動会の練習で小学校から音楽がよく流れてくる」と事実を伝えたこと
を学校関係者の方は「小学校へのクレームだ」と受け取られるかもしれません。
人は自分の先入観や思い込みで情報を受け取ることがあり、それによって大きな
誤解を生じることもあります。ワークショップのように複数の、しかも世代や
性別、経験の違う多彩な人が話し合いをするような場合、みんなの議論の焦点や
見ているものを合わせていかないと議論がいつまでもかみ合わない、あるいは
誤解したままに進行してしまう危険性があります。
ファシリテーターはそういう場で、意見と事実を整理する、メンバー間で情報が
正しく共有されているか確認する、問いの投げかけや進行について提案をする
などして議論を進めていきます。
こうしたことを行うために必要なのが、伝える・聴く・問いかけるといった
基礎的なコミュニケーションのスキルになります。

午前は、メッセンジャー・ライン(伝言ゲームを用いた実習)やペアでの傾聴や
問いかける実習を通して、基本となる「伝える・聴く・問いかける」について
考え、午後はカード集類法や合意形成のグループ実習を行い、グループ内での
コミュニケーションについて考えていきました。

午前3時間、午後3時間と一日かけての長い研修でしたが、参加者の皆さんは、
熱心に実習に取り組まれ、たくさんの気づきや提案をして下さいました。
参加者からのふりかえりのコメントをいくつかご紹介します。

◆言葉の伝え方について、相手の知識レベルの違いで伝えるべきことが
 正しく伝わらないことを実感した。また言葉だけではなくメモをとること
 も大事なツールだと感じた。

◆普段、何気なく行っている会話によるコミュニケーションも、どういう風に相手
 の話を受け止め、自分が伝えたいことをどう伝えるか?を少し意識するだけで
 違った見方、対応の仕方ができると思いました。

◆個人個人で、これまでの経験や知識等が大きく違うなかでは、物事を誤解なく
 伝えるという作業は非常に難しいということを改めて感じました。

◆自分がわかっていることも、当然相手がわかっていると思わず、相手の立場にたって
 歩み寄ることが大切だと感じました。聴き方においても、相手が答えやすい方法で
 質問をすることの重要性を学びました。

また、今後の日常業務、窓口での対応や住民への説明の際に、今回の学びを活かし
伝え方や問いかけ方をよりよいものにしていきたいという意見をたくさん
頂きました。